ひとりごとを延々と書くブログ

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好みのアーティストを発掘した時の興奮

 というタイトルを付けた時点で興奮の程度は6割方伝わると思う。そしてこのタイトル直後の書き出しに、小説風の情景描写、いかにして好みの曲と出会ったか、その過程をハードボイルドよろしく語っていく、冷めやらぬ興奮の程度を肉薄する文章で伝える。というのも一興だろうが、こういう文章は初めの掴みで読者をこちら側に持ってこさせないと冷めた目で見られることになる。とまあこういった客観視を付け加えてみたところでこの文章が浮足立って見えてしまうのは避けられないのだが――

 さて、音楽を聴く形態というのは、私が生きてきた短い期間でもかなり様変わりしたように思える。とはいえ、具体的にいついつ何が普及して、というのを調べるのは面倒だから、走馬灯並みに雑な記憶で済ましてしまうのだけれども、まず家にはカセットテープがあった。これは、少なくとも親の世代にはカセットテープが現役であったということを示唆する。
 階段下の物置の中の透明なプラスチックの箱の中には大量のカセットテープがしまってあった。市販されているものもあったが、もっぱらはラジオなどを録音したもののようだった。ラベル付けされているもの、されていないもの、どちらも埃をかぶっていたが、再生することはできた。思い出せば、私が幼稚園のときに誕生日インタビューのようなものをされた記録もカセットテープが媒体だった。なるほど、記憶だけだが、これはかなり客観的な状況説明になる。
 記憶は次に母の運転する車の中に移る。この空間で覚えたいくつかの曲は今でも耳に残っている。そしてもどかしいのが、メロディは鮮明に思い出せるのに曲名やアーティスト名がさっぱり思い出せない、という状況が発生したときだ。しかも、この現象が発生するのは特定の曲なのである。そのたび私はメロディだけを手掛かりにどうにかして曲名を知ることはできないかと四苦八苦する。このやりとりを何度もやったおかげで当該の曲のタイトルはもうしっかり覚えてしまった。せっかくだからリンクを貼っておこう:

www.youtube.com

サビの"Can you feel my heart beat when I'm close to you"という部分のメロディが本当に忘れられなかった。そして忘れたと思った頃にゾンビのように蘇るのだ。メロディだけ。
 調べてみると、リリースは1999年らしい。もう20年以上も前だった。
 他に覚えているのは、aikoの「ボーイフレンド」だ。母が熱心に歌っていたのを覚えている。これも調べてみると初出は2000年だそうだ。大体ここら辺の年代の曲ばかりなのだろうか。
 加えて、これは耳の記憶ではなく画像の記憶なのだが、裸の赤ちゃんがプールの中で釣り竿についたドル紙幣に手を伸ばすジャケットだけはなぜか鮮明に覚えている。どうせこんなのGoogle検索で一発だろ、と思い「赤ちゃん 釣り竿 お金 ジャケット」などと今調べてみたが、出 て こ な い。これは困った。今度は鮮明なメロディではなく、鮮明なジャケ写だ。がしかし、ここまで書いて「ジャケ写 赤ちゃん」のワードでしっかりたどり着くことができた:

 確かに、音楽を聴く手段はCDが主流だった。CDを購入してそのまま聴いたり、あるいはTSUTAYAでレンタルしたCDをパソコンで取り込む。この当時は家にあったのは確かeMacで、iTunesを使っていたはずだ。そうしてiTunesに読み込んだデータから、新たに自分用にCDを焼いて車やラジカセで聴いたり、あるいはiTunesから直接iPodsなどに取り込んで聴く。音楽を聴くときのプロセスはずっとこうだった。
 今はやっぱりストリーミングサービスが主要なんだろうか。CDの売り上げは下がっていそうである。少しWikipeiaで調べてみた。丸投げになるけど下手に引用しても微妙だから丸投げする。知りたい人は読んでください:

ja.wikipedia.org

 さて、やっと本題の話になる。少々脇道が過ぎてしまったが、やっと話したい事に入れる。まあ、表題の通りだ。よくある感情。例えば、似たような感情はしばしばネガティブな形でも耳にする:マイナーだったアーティストが人気になりだしたら少し寂しくなる、だとか。
 でも実際は、目をつけていたアーティストが人気になると後方彼氏面(こうほうかれしづら)のドヤ顔で自慢したくなるものである。俗にいう「古参アピ」かもしれない。弾き語り時代の藤井風なんてその代表格みたいなものだろう。古参アピばかりするのは見苦しいかもしれないけれど、こう、見届けたような感覚を抱いてしまうと、そうしてしまう人間の気持ちもよく理解できる。

 ああ、なんで音楽を聴く媒体の話をし始めたか思い出した。自分好みの曲とどうやって曲と巡り合ったのかというのは、それはまさに曲をどうやって聴くかということ“そのもの”が答えだったからだ。
 先ほどもWikipediaで引用した通り、昨今、音楽を聴くといえば媒体はストリーミングサービスが主である。それはSpotifyであったり、Apple Musicであったり、Amazon Musicであったりする。私の調べによると、この三つが最も人気なのではないかなと思う。実際、私もこの三つを色々吟味して、今はAmazon Musicを使っている。無料である程度使えるSpotifyや、Appleデバイスとの親和性が高いApple Musicなど、音楽サブスクを選ぶにもいろいろな要素がある。その重要な要素の一つとして――私が思うに――「サジェストの精度」というものがある。
 定額制音楽配信サービスのほとんどは値段も似たり寄ったりで、聴ける曲もサービス間でほとんど差がなくなっている。少なくとも、テレビや巷で流れるような曲ならば例外なく配信されていると言っていいだろう。だが、当然ながら、一個人が配信されているすべての曲を聴くということは事実上不可能である。
 世界で最も人気な音楽サブスク*1を豪語するSpotifyは現在8000万曲以上を配信*2しており、ビルボードホット100のデータによると、人気楽曲の平均的な長さは3分30秒だ*3という。これらのデータからSpotifyの楽曲をすべて聴くのにかかる時間を概算するとおよそ500年にもなる。

生まれた瞬間から英才教育的にSpotifyを聴かせ続けても孫の孫が死ぬまでかかる一族5世代がかりの大仕事だ

 そこで「サジェストの精度」が重要になってくる。生きている間にすべての曲を聴くことが不可能なら、ユーザーにとって望ましいのは「好みの曲をできるだけ多く聴く」ということになる。しかし、楽曲が好みかどうかを全く聴かずに判断することはできないし、前述の通り選択肢は膨大に存在する。したがって、ユーザーに必要なのは「曲の好みをちょっと教えるだけでいい感じの曲をどんどん勧めてくれる音楽オタク」といえる。Spotifyのそいつはほんとに優秀で、それが無料版Spotifyの欠点である強制シャッフル再生のフラストレーションをかなり減らしている、と私は感じている。

 本題?本題はどこへ行ってしまったんだろう。そしてそれを熱く語ろうと思っていた私のモチベーションは?この原稿を下書きに三日以上温めていた時点でもうダメなのはわかっていたのだが、まったく竜頭蛇尾になってしまって申し訳ないけれど、最後にそのサジェストで発掘した私好みの曲たちを紹介していこうかなと思う。

www.youtube.com

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*1:“the world’s most popular audio streaming subscription service”

*2:Spotify — About Spotify

*3:What's the Average Length of a Song? (2023) - Musician Wave